想い重なる、堂々川。
江戸時代につくられた石積みの砂防ダムで、現在も砂留として土石流を防ぐ機能を有している。そんな「今も生きている砂留」がある堂々川に、自分も癒してもらったから、恩返しがしたい。
「イノシシに負けずに花を増やしたい。」
「めざそう彼岸花No.1!」
「関わった子どもたちが次の世代につないでくれたら。」
「とにかく、綺麗なものが好き-。」
ホタルと花と砂留と、地域の人々の想いが幾重にも重なります。
もはや国登録有形文化財の保護や自然保全の域にとらわれない多面的な魅力の発掘と多方面への発信。ここ、堂々川から広がっていきます。
審査員ポイント
地域の小中学生や大学生との接点づくりや視察受け入れなど、新しいつながりづくりに対する意識がより高くなっている点が評価されます。
国の登録有形文化財である砂留の「保全・整備」を目的とするだけでなく、より人々が集まりやすい「ホタル」と「彼岸花」の里づくりも掲げて活動されている点がすばらしいと思います。「楽しさ」や「美しさ」でこれからも多くの人を巻き込んでもらいたいです。
美しいものは、気持ちいい。
なぜこんな活動をしているのかと言うと、「自然の美が好きだから」なんですよ。堂々川ホタル同好会では、ホタルの保存活動として、ホタルの幼虫のエサとなるカワニナを放流したり、川の掃除をしたり、草刈りをしたりしています。そうした作業は大変ですが、きれいになった堂々川に1000匹以上のホタルが飛ぶのを見たら、そりゃあ気持ちがいいもんです。
ホタルをきっかけに。
同好会は2006年に設立して、今年で11年目になります。2004年に堂々川にいないはずのホタルが飛んでいるのを見たのです。そこで森林組合や民生委員の人たちとカワニナを放流してみたところ、翌年にはホタルが200匹ほどになったんです。もっと増やしたいと思い、同好会をつくったんです。本当は、ここにある砂留を整備したり、川をキレイにしたりしたいという思いもあったのですが、なかなか興味を持ってもらえそうになかったので、ホタルをきっかけにして興味を持ってもらおうと思いました。
堂々川ホタル同好会 事務局長
土肥 徳之さん
日本一の「砂留群」。
堂々川には16基の砂留があるのですが、中でも6番砂留はかなり大きなもので、江戸時代にできた石積みの砂留で現在も機能しているものとしては日本一です。立派なものですよ。砂留というのは、砂を留めるほかに、水流をゆるやかにする機能があります。これがあることによって、土石流が起こりにくくなるんです。この砂留の前をホタルが飛ぶ様子がまた、幻想的なんですよ。
美しいものは、社会にもいい。
ここでは、四季折々の植物が見られるように、さくらやモミジなど様々な植物を植えています。特に力を入れているのは、昨年15種類の色の花が咲いたヒガンバナで、神辺町内の小学生が遠足で来た時に球根を植えてくれています。夏休みには川の水質調査をしたり、道路や公園のゴミを拾ってくれたりもしています。関わってくれた子どもたちが、将来大人になって自分の子どもと一緒に堂々川に来てくれたらいいなと夢見ています。この活動を受け継いでいってくれたらなとも。
キレイなものを増やしていったら、不法投棄が減ったという声も聞かれるようになりました。こんなに嬉しいことはないですね。
○団体名
堂々川ホタル同好会
○問い合わせ先
090-2865-3486
○Web
http://dodogawa.com/
○主な活動場所
堂々川中流域(福山市神辺町下御領、湯野、中条)