卸町の明るい未来を感じさせる、
若いエネルギー
物流の拠点として栄えていた卸町エリアの活気を取り戻すべく、卸町センター内でマルシェを開催。『STOREHOUSE』と題し、年に3回2日間にわたり、飲食・アパレル・雑貨などあらゆる業種が集い、出店販売の場を運営する。初回は3,000人程度だった参加者も回を重ねるごとに増え、現在では20,000人以上を集客する大きなイベントに発展。イベント期間に限らず卸町への日常的な賑わいを取り戻すことを目標に掲げる。
審査員ポイント
“エリア”を意識して取り組んでいる点がすばらしい。それによって今後、卸町のポテンシャルがより一層引き出されていくことと思われます。
デザイン力の高さと人を引き付ける吸引力のある取り組みです。
STOREHOUSE 共同代表
藤田 直史さん、佐藤 卓也さん
「一人ではできないことも、仲間がいればできるから。
最終目標は “まちづくり” です。」
かつての賑わいを取り戻すために。
昔、僕たちが子どもの頃、卸町は栄えていたんです。その頃の賑わいを取り戻したかったんですよね。ストアハウスをやる3年前にアルゴリズムという店を卸町に出したのですが、それだけでは何も変わらなかった。それまで卸町は卸業者以外の出店がなかったので、小売店ができたら何か変わると思ったんですけどね。3年経っても何も変わらなかったんです。それで、イベントを開催して人を呼ぼうと考えました。それがストアハウスのはじまりです。ストアハウスでは物販に力を入れています。一般的にイベントというと、飲食に力を入れがちですが、そうはしたくなかったんです。よくあるイベントと同じようにはしたくなかった。古本や雑貨を売る海外にあるようなマルシェにしたかったんです。
イベントの成長とその副産物。
回数を重ねるたび、出店者のみなさんとイベントが共に成長していっている感覚がありますね。出店の仕方や商品の見せ方とか、みなさん創意工夫して、よりイベントとしての精度が上がってきています。主催する僕たちが、出店者に刺激をもらっている感じです。主催する僕たちも出店者のみなさんも同じ、対等な立場で共にイベントを大きくしていけたらいいですね。イベントが大きくなっていくごとに正直しんどいことも増えますが、楽しさのほうが勝ります。運営側も出店者も、ストアハウスに関わるメンバーが増えていくのが楽しくて。同世代で同じような思いを持っている仲間が増えるのもうれしいことの一つですね。みんなそれぞれプロなんです。デザインのプロ、グラフィックのプロ、販売のプロ。それぞれいろいろな軸を持っているから、そこは大事にしたいと思っていますね。主催する側ですが、逆にみんなからすごい影響を受けているんです。
一人じゃないからできること。
最初はうまくいかないことばかりでした。自分が思っていることを伝えても、共感してくれる人もいない、実績もない。それで、我慢することを覚えましたね。そして、一人ではできないことがあることを学びました。基本的に一人で何でもしようとする、というかしてきたタイプだったんですが、ストアハウスをはじめたことで、誰かに手伝ってもらうってことを覚えたんです。力を合わせることで広がる可能性や、そこに仲間がいることの強さを実感しています。
まちをつくるのは、そこに住む自分たちだから。
若手が表現する場所が少ないので、このストアハウスを使って個性を出してもらえたらと思っています。若手に活躍して欲しいんですよね。将来は若手に引き継いで自分はバックアップにまわるようなかたちを取りたいと思っています。だから、ストアハウスの運営にはどんどんたくさんの人が関わってほしいんです。でもやるからには覚悟を持ってもらいたいと思っています。5年後10年後、どうなりたいかとよく聞かれるんですが、そんなことはわかりません。前回よりいいものをつくりたい、ただその繰り返しです。最終的に、この卸町に店を誘致して、かつての活気を取り戻せたらいいですね。それがストアハウスの最終目標です。それが結果として、まちを変えていくことにつながっていくと思っています。こうやって福山ブランドに登録され、年代や属性を越え、多くの人に認知されることも、大きなきっかけです。みんなでつくるまち。そこに近づけていきたいです。
INTERVIEW
shipton オーナー
栗本 陽一さん
ストアハウスには6回目の回に参加しました。大盛況でしたね。店舗販売よりお客さんとの距離が近く、普段はできないようなコミュニケーションがとれたことがよかったです。その後、藤田さんからテナントが空いていることを聞き、卸町に自分の店を移転させました。
DARUMAYA CAFE 店長
上坂 絵理さん
お店の常連さんからストアハウスのことを聞き、参加したのがはじまりです。イベント出店ははじめてだったのでとても勉強になりました。何より、とても楽しかったですね。出店前にリサーチとして、藤田さんと佐藤さんがいらしてくれたんです。ストアハウスへの愛を感じました。