喜びも悩みも分け合う、
ママたちのやさしいつながり
“みんなの子どもをみんなで守ろう”を合言葉に、地域と親、子どもたちをつなぐママたちの活動。育児セラピストが主体となって、子育てに関する情報を交換する“ママ日々ミーティング“を開催するほか、フリーマーケットやライブを盛りこんだオリジナルイベントを企画。自分たち自身が楽しみながら行なう様子が、親子連れにはもちろん様々な企業からも賛同を得ており、イベントによっては5,000人以上を動員。安心して子育てができるまちづくりの輪を着実に広げている。
審査員ポイント
月2回の“ママ日々ミーティング“というママたちの悩みや喜び、楽しさを共有できる場づくりを継続している点がすばらしいと思います!
ファシリテーターとして、育児セラピストとして牽引している点が評価できる。地方都市スタイルの良いモデルになるのでは。
「ママだからこそできることはあっても、できないことなんてないんです。」
ママをつなげて、地域で子どもを守りたい。
活動のきっかけは、福山で起こった幼児虐待事件です。自分の暮らすまちで、子どもが亡くなってしまったというニュースを耳にして、とてもショックでした。そして、自分にできることはないか、その子の死を無駄にしないためには何ができるかと考えた時に、「ママたちをつなげることが大切だ」と気付いたんです。子育てには疲労や不安、焦りはつきもの。同じ悩みをもった仲間が近くにいるとわかるだけで、心が楽になって頑張ろうと思えることがたくさんある。お茶でも飲みながら「皆そうだよね」と共感し合える場所がママたちには必要です。地域全体で子どもたちを見守っていこうという意識と、子育てにつまづくお母さんの存在に気づけるような少しの余裕と優しさをひとり一人が持てたら、私たちの環境や生活も良い方向へと変わっていくはず。事件が起きた時、加害者のお母さんが悪いと非難するだけではなく、「子育ては、私たち皆の責任」と考えられる人が少しでも増えればいいなと思っています。
大切にしたいのは、
笑顔を増やすリアルコミュニケーション。
子どもの笑顔は、ママの笑顔があってこそ。ならば自分たちがハッピーになれることをしようと、出会ったママ友とイベントを行なうようになりました。ちょうど一人目の子どもが幼稚園に通っている時期で、出会ったママ友たちはみんなキャラクターが強く、特技もあって。それなら、ママの手作り作品を売る場所や、子どもが店屋さんを体験できるブースも作ろうということで、近所の小児科の駐車場をお借りしてスタートしたんです。そのうち口コミで参加者が増え、規模を大きくしようと、子どもを抱えながら地元企業に出向いて、協賛を募って。ママだから何もできないと諦める人が多いけれど、ママでも何かやろうと思えばできるんだよということを、私がやって見せていきたいと思ったんです。実際にダンスチームを作りたいと悩んでいたママも、今では十数人でチームを作って踊っているんですよ。そういう元気のあるママが増えているのは、嬉しいこと。育児セラピストとして行なうミーティングや社会とつながれるイベントは、子育てを頑張るきっかけが見つかる大切な場所です。ひとり一人とのリアルなコミュニケーションを大事にして、これからもたくさんの笑顔をつくっていきたい。今後はママたちがいつでも相談に来ることができるスペースを持つことが目標です。
NPO法人mamanohibi 代表
小寺 絵海さん
INTERVIEW
NPO法人mamanohibi メンバー
村上 弥生さん(左)今岡 麻住さん(中)吉本 美由紀さん(右)
いろいろな個性のママたちと出会えたことが嬉しい。
家にこもって子育てをしていると、社会とのつながりもなくなってしまいがちだけど、活動を始めてからは、幅広い世代との接点もできて色んな方と出会えます。絵の具を持ち寄ってイベントの看板を作ったり、料理が得意なママに教わってお菓子やパンを作ったり。私と子どもだけで過ごしていたら経験できません。メンバーの個性も様々なので、なんでも対応できるのがスゴイところ。百貨店で開催した「母と娘のヘアアレンジの会」では、“編み込み”すらしたことがなかったママも、すぐに勉強して次の日には先生として立派にレクチャーできるまでに。何かあれば5分後には、わっと集まって解決。こんなチームなら、どこの会社でもバリバリいけるんじゃないですか(笑)。
ママが楽しんでいると、子どもも嬉しい。
そんな風にイベントや活動を通じて私たち自身も成長できるから、ありがたいですね。子どもたちも、どんな所でも場慣れできるようになって、大人たちに囲まれても堂々としているなと思います。自分のママが楽しいことをしているんだというのが嬉しいみたいで、なかには「将来mamanohibiになりたい」という声があるほど。「次はどんなイベントをするの?」と、子どもも一緒に心待ちにしてくれているのが嬉しいです。
NPO法人mamanohibi メンバーの旦那様
今岡 徹さん(左)、吉本 博樹さん(右)
パパから見た、mamanohibiのいいところ。
子どもたちが楽しそうなのが一番いいですね。他の小学校の子どもとも友達になれるのが良いみたいで、生き生きとして遊んでいますよ。子どもは放っておけないので、こういう遊び相手が見つかるつながりは嬉しいことだと思います。ママにとっても一人で子どもを見るのと、みんなで見るのとは全く違うと思いますよ。“papanohibi”もしたいけれど、仕事があってなかなかできないから、僕らは表に出ず、縁の下の力持ちとして応援したい。「この日イベントがあるから休んで」と言われたら、「はい、わかりました」と子守や片付けを引き受ける。そうすれば夫婦関係も円満です(笑)。
活動を通じて起きた変化
メンバーの皆さんとは、上の子が幼稚園の頃からの付き合いです。リーダーの小寺さんは、ラジオDJという仕事をされていたので、元から前に出られるタイプだったと思いますが、うちの奥さんは、決してそんなタイプではありませんでした。でもある日役員に立候補したのをきっかけに、ママ友と仲良くなったなと思ったら、あれよあれよという間にNPO法人を立ち上げていて。この取り組みに参加するようになってからは、色んなことが積極的になったと思います。今に至るまでがすべて自然の流れだったので、これからどうなるか楽しみ。今後も色んな人をどんどん巻き込んで楽しんでもらいたいです。
○団体名
NPO法人mamanohibi
○問い合わせ先
070-5674-9175
○Web
http://ameblo.jp/mamanohibisince2010/
○主な活動場所
福山駅前商業施設(天満屋,エフピコRiM等),福山市内のカフェ・ショップ等。