ガラス製の小さな、「シードビーズ」。
(勝岡さん)
MIYUKIの一番の売りと言われたら、ビーズの均一性ですね。シードビーズというのは、「種のように小さなビーズ」という意味で、手芸店で見かけたことのある方も多いと思いますが、国内で製造しているのはたった3社です。小さな業界なので、ビーズをつくる機械は売っていません。ですので、創業時からビーズを作る機械そのものも社内で製造しているんです。
(安井さん)
シードビーズは、ガラスの細い管を作って切断して作ります。ツヤを出し、着色やメッキなどの加工を加えて仕上げるとできあがりです。ガラスを溶かしてつくるので、ガラスそのものの色が出てきます。手作業も結構あるので、機械のスイッチを押せばできあがるというものはほとんどありません。
ビーズの種類は、10,000種以上。
(勝岡さん)
MIYUKIのビーズは、色の違いだけでも3000~4000種類、形状の違いを含めると10,000種類以上あります。ツヤ消しにしたり、穴の中だけ色を入れたり、メッキを施したりといった加工をしています。製造したビーズの9割は海外へ輸出していて、ドレスやアクセサリーに使われることが多く、そのほかビーズクラフトにも使われています。シードビーズの中でも最高級品は、ビーズ織りのために作った「デリカビーズ」という、円筒形をしたビーズです。タペストリーなどを織るときれいに仕上がるんですよ。
アイデアを生むのは、「想像力」。形にするのも、「想像力」。
(勝岡さん)
新製品のアイデアは、お客様の声を反映することもありますし、テレビを見ているときにふと思いつくこともあります。いつもどこかで「これをビーズで作ったらどうなるだろう」と考えてしまう癖がついているような気がしますね。ビーズありきで加工品を考えるのではなく、最終的にこういう作品になったらいいなというのを考えたうえで商品開発をしています。
(小林さん)
この世の発明品すべてそうなのですが、頭の中で想像できたものでないと実現できないと思っているので、とことん具体的に想像するようにしています。例えば、色が剥げにくいビーズを作ろうと思ったら、剥げにくいと言っても、ガラス自体に色をつけるとか、分厚いコーティングをするとか、色々な手法がありますよね。そうやってあらゆる可能性を考えてみて、一番できそうなことを選択していくんです。ちなみに色が剥げにくいビーズは「デュラコート」という製品になっています。品質のテストの為に、みんなで指輪を作ってつけてみて、日常生活を送ってみたこともありましたね。休日に家族と買い物へ行って、中高生の女の子が行くようなファッションのお店でしげしげとビーズのついた商品を見ていて、奥さんに「恥ずかしいからやめて」と言われたこともあります(笑)。
シンプルだからこそ、使う楽しさ、そして新しい価値を。
(勝岡さん)
ビーズと言うと、子どものおもちゃだというイメージを持つ方も多いと思うんですが、ハンドメイドアクセサリーなども作れますし、ビーズを日常的に使う楽しさを知っていただきたいなと思っています。そもそもビーズは紀元前からあると言われていて、着飾りたいという人間の欲求を満たしてきたもの。穴の開いた「ガラス玉」というビーズの概念はぶれることなく、しっかりと次の世代に引き継いでいかなければなりません。その上で、新たな価値を創造していくことを常に考えています。チャレンジし続けていく価値がビーズにはまだまだあると思っています。
ビーズを、日常の一部へ。
(安井さん)
この辺りには服飾系の企業が多く、最近では服飾の学校の方々がそうした企業の見学を兼ねてビーズ工場に来られることも多いですね。嬉しいことです。
(勝岡さん)
ご自身でビーズのものづくりを楽しまれる方も増えてきました。「ビーズファクトリー」という日本初のビーズ専門店を経営しているのですが、そこでは、MIYUKIが製造しているビーズをはじめ、世界各地から輸入した多彩なビーズやパーツを豊富に取り揃えています。手づくりキットも販売していますし、福山店では毎週木曜日にビーズサロンと言って、ビーズ作りの講習会を開いています。参加されている皆さんは、習うのが目的というよりは、おしゃべりを楽しみに来てくださっている印象です。こんな風にビーズが日常の一部になれば嬉しいですね。