表装技術
表装業界が震撼した高い技術と営業力
書道や絵に興味のある人なら必ず聞いたことのある「表装」。表装とは、書や絵などの鑑賞・保存を目的に、掛け軸、屏風、額などに仕立てること。「東洋額装」は表装業界でトップクラスのシェアを誇る企業。なかでもレンタル額のシェアは日本一で、有名公募展では30%近くの人が利用するほど。福山市の本社のほか、東京、大阪に支店を展開し表装業界では珍しく営業マンがお客様の窓口に。これまでの業界の常識にとらわれない手法と工程で、高品質なのに短納期を実現。書を楽しむ多くの人の支持を集めている。
審査員ポイント
クールジャパンに参加するなど新たな市場を開拓する活動を積極的に取り組んでいて素晴らしい。
1級表装技能士やものづくりマイスターを数多く育て,技術を継承し続けている点や,「書のまち福山」を発信するために,会社見学などを実施している点が評価できる。
日本の伝統技術を残す使命を福山から
表装は日本の伝統文化を形にする昔ながらの技術です。手漉き和紙や表装用の絹織物・金襴織物、軸先や手打ちの金具類などの伝統技術が絶えると表装を仕立てることはできません。表装にまつわるそれらの伝統技術を絶やしてはいけないと考えます。そのためには、安価な紙や織物を使わず、伝統技術で作ったものを使い、技術を持ったプロが手がける「本物の表装」を提供し続けることが大切だと思っています。日本の伝統技術の応援にも繋がりますし、確かな技術で1つでも多くの「世界に一つしかない作品」を残したいです。それが、「書のまち福山」と言われ、多くの書道家を輩出したこの町に本社を置く企業としての使命だと思っています。
東洋額装株式会社 代表取締役社長
小林 英樹さん
分業化を導入して各工程のプロを育てる
かつての表装業界は、著名な書道家も作品を持って職人を訪ね、納期が曖昧なまま、言い値で仕事をするのが常識でした。当社では、書や絵画を楽しむ多くの人に表装を広めたいという思いから、料金、納期を明確に提示。営業マンが書道家や書道教室を訪問して要望をヒアリングし、作品をお預かりします。作品が集まる自社工場では、クオリティー、技術、スピードを重視して各工程を分業化。分業することで効率アップと従業員1人1人の技術向上を図りました。現在、年間6万点以上の作品を表装しています。お客様それぞれの幅広い要望に応えられる様に人材を育成。国家技能検定1級表装技能士25人、ものづくりマイスター11人、職業訓練指導員3人が在籍しています。
表装の伝統技術をわかりやすく伝えたい
当社では表装を一般の人に知ってもらうために様々な取組を行っています。工場見学や、掛け軸を作る時の「裏打ち」が体験できる教室を3名以上の予約制で随時開催。また、2017年に公開された映画「ジョジョの奇妙な冒険」のワンシーンに当社が表装した額3面が登場しています。さらに、関西国際空港、成田国際空港では書道が体験できるワークショップ併設の展覧会を開催。ワークショップは海外の人にも楽しんでいただきました。表装の仕事は完全に裏方なので知ってもらう機会が少ないですが、伝統技術を次世代へ繋ぐために、あらゆる角度から周知することが大切だと考えます。表装の文化向上と若手書道家たちの応援ができる企業でありたいです。
○事業者名
東洋額装株式会社
○住所 広島県福山市加茂町八軒屋3
○問い合わせ先
084−972−5577
○Web
http://toyogaku.co.jp/