アンカーホテル福山
まちと人をつなぐ、カルチャー発信型ホテル。
それはまるでショーケース。「ものづくりのまち」である福山市近辺の鉄鋼・木工・アパレル業をはじめとする地元企業のプロダクトを至るところに散りばめた、体験型の展示会場のようなホテルです。1階には、まちの人と各国からのゲストがコミュニケーションできるBARを備え、時に賑やかなサロンとなり、時にイベント会場となりながら、まちと人、人と人とをアンカリングする(=つなぎとめる)役割を担っています。マンションだった建物を壊すことなくコンバージョン(用途変更)することで、価値ある資源を再利用しながら地域の新たな“ジャンクション”を作り出した創造性にも注目です。
審査員ポイント
福山の製品だけでまとめるというコンセプトが徹底している。関係者の熱意も素晴らしい。
今まで福山になかったタイプのホテルでとにかくおしゃれ。部屋の調度品から朝食メニューまで、地元のものづくりとしっかり組んで,モダンに構成されているのが素晴らしい。
はじまりは、ニーズとニーズのマッチング。
平成元年に福山駅北口に『福山オリエンタルホテル』を開業。ビジネスパーソンの往来が多い福山で、いわゆるビジネスホテルを営んできました。ありがたいことに満室になることも多く、お断りをせざるを得ない日が続く中で、数軒ほど隣にあるマンションの空き室とゲストをマッチングできないかと考えたのです。そのうちに、「ここをホテルにできないか?」と思い始めて。入居者の転居先の手配も含めて半年ほどかかりましたが、思い切って物件ごと購入しました。 どんなホテルにしようかと構想を巡らせた時に、「せっかく毎日100名ほどのお客様が福山に訪れるのだから、もっと福山のことを知ってもらいたい」という想いが強くなり、「福山を知ってもらうためのホテルにしよう」と心を決めたのです。
福山市が誇る「技術」を全国へ、世界へ。
福山市には、特殊な技術や歴史を持ったナンバーワン企業・オンリーワン企業と呼ばれる会社が数多くあります。特に、「ものづくりのまち」といわれる所以にもなった鉄鋼業や木工業、繊維業などの技術は世界にも誇れるほどです。それらの技術に「ホテル」という空間を掛け合わせて、建物のアイアン製品や什器を市内の鉄鋼業に、スツールやソファを木工業や家具製造業に、ベッドスローや館内バッグなどのファブリックを繊維業やアパレル業に……と、全部で20社以上の地元企業とのコラボレーションを実現させることができました。建築・設計は福山市の『西村崇建築設計事務所』にオーダーし、プロジェクトのスタートからチームに加入してもらいながら、福山の“いいとこ取り”なホテルを目指しました。
株式会社 サン・クレア 代表取締役CEO
細羽 雅之さん(左)
広報
東 真貴さん(右)
プロダクトの背景まで知ってほしいから。
でも、福山メイドのプロダクトを単に並べただけでは、本当の良さまで知っていただくことはできません。そのため、自社HPには『ANCHOR HOTEL』に協力していただいた企業のご紹介ページを設けています。各工場や店舗に実際に取材に行き、その企業のストーリーやプロダクトへの想いを丁寧に伝える。記事は客室にあるタブレットでも見ていただけますし、スタッフが直接お話しさせていただくこともあります。 ホテルで過ごす時間に少しでも「福山を知る時間」を加えて、もっと福山を好きになってほしい。そうして、これまで仕事や都合があって福山に来ていた人が、「福山に行きたいから」という理由で来てくれるようになれば幸せです。

○事業者名
株式会社 サン・クレア
○住所
福山市城見町1-1-10
○定休日
無休
○問い合わせ先
084-927-0995(アンカーホテル福山)
○Web
https://anchor-hotel.jp/fukuyama