きっかけは、ゲームセンターの魚たち。
開発のきっかけは、映画のブームによりカクレクマノミが爆発的に流行したこと。ゲームセンターなどでカクレクマノミたちが景品になるほどでした。そうして海水魚を飼育したことのない子どもたちが突然カクレクマノミを手にして、適切な飼育ができず魚たちを次々と死なせてしまっていた現状があったんです。観賞魚関連の製品開発をしていた私たちにとって、それはとても悲しい出来事でした。「魚たちを死なせたくない!」、その想いで製品開発をスタートしました。
これまで、海水魚を飼うにはエアーポンプやろ過器などのツールをそろえる必要があると思われていました。すべての設備を準備するとなれば、費用は数万円はくだりません。「よりリーズナブルに、しかも簡単に海水魚を飼う方法はないだろうか?」と研究を重ねた結果、この“魔法の白い玉”が完成しました。「これで絶対死なせない!」と声を大にして言いたいですね。
また、意外と知られていませんが、福山の水質は水源が石灰などを多く含む地質であるため、備後地方の水は熱帯魚や水草を買うには全国でも有数の難しい水質です。めだかや金魚を飼われる子どもさんから、観賞魚の愛好家さんまで、様々なユーザーと接する中で、魚をより安全に、より手間なく育てられる製品を普及させ、生命を愛しむ心、そして環境に配慮する心を育みたいと思っています。
時短、簡単な育成キットを開発。
この“白い玉”の正体は、高性能ろ過材。透明に見える水槽の水にも、バクテリアが分解したエサやフンが酸化物になって溶け込んでいます。これが魚たちには猛毒で、病気や死に至らせてしまう原因となるのです。そんな見えない不純物を吸着し、取り除く。中和ではなく、除去するためのろ過材です。酸素濃度を一定に保つ機能もあるため、機械がなくても海水魚を飼えるようになりました。
もう一つ、海水魚を飼育するために必要なのが海水です。通常は人工海水の素を水道水などに溶かして作るのですが、濃度を測る器具が必要だったり、水槽飼育では水量も多く大きなバケツで作らなければならない為、水換えに体力も時間もかかっていました。ですが、器具も使わず数十秒ででき、魚が病気になりにくい専用の人工海水の素を開発しました。このシステムなら1~2時間かかっていた水換えが5分に短縮できます。
これらの海水魚を飼育するためのツールをセットにしたのが「カクレクマノミ飼育入門セット ボトルアクアリウム マリンⅡ」です。初代のキットから改良を加え、より高性能になりました。
株式会社 ウォーターエンジニアリング 代表取締役
三井 一聖さん(左)
商品企画部 デザイナー
榮谷 加代子さん(右)
見つけたのは、成功のための絶対ルール。
私たちが力を入れたのは、たまたまではないシンプルな「成功のルール」を見つけること。地域によって海水や水道水の水質が違うため、同じ製品でも場所が違えば適応できないということもありました。それを、どの地域の水道水を使っても適切な飼育水が作れるよう、何年も研究を続けてやっと完成に至りました。
このキットを使えば、キッチンやデスクなどにも簡単に水槽ボトルを持ち運べます。いつも近くで観察することで魚たちの体調不良などにも気付きやすくなります。このキットを使って2歳の男の子がカクレクマノミを育ててくれていたりもして、本当に嬉しいです。
購入後のアフターフォローにもしっかり力を入れているので、気になることがあればいつでも問い合わせてくださって大丈夫です。近年はついに、観賞魚そのものを販売するようにもなりました。
すべては魚たちの健康のため。小さなカクレクマノミですが、大切に育てればヒトにも慣れるし、10年以上は元気でいてくれますよ。ぜひ、家族に迎えてあげてくださいね。