次の世代の未来へとつながる、
地球環境に配慮したエコアクション
123年つづく染色工場としての経験を踏まえ、CO2やエネルギーの削減、環境汚染の原因となる薬剤の低減技術を研究・開発。オーガニックコットンの栽培や環境に配慮したものづくりを推進するなかで、社内部署の一つとして環境事業部を創設。日々の業務の中から環境意識を強化し、身近な環境問題にも積極的に向き合うことで生ごみの資源化も実現。全国に先駆けたモデルケースとなるべく社員が一丸となり環境問題に取り組む。
審査員ポイント
技術だけではなく環境にも配慮した繊維技術の顔としてリーダーシップを発揮してほしいです。
デニム界のエコアクション! 社員が一丸となって取り組んでいるのが素晴らしいです。
坂本デニム株式会社 代表取締役社長
坂本 量一さん
「必要なのは、ひとり一人の理解と協力。全国にモデルケースとして示していきたい」
環境問題への意識。
うちは染色工場です。環境に負荷をかけるかかけないか、紙一重なところで何十年もやってきました。10年くらい前までは役所から叱られたこともありましたよ。けど、そんな苦い経験がこの取り組みをはじめることとなったきっかけでもあります。それともう一つ。工業用の綿は100%輸入に頼っているのですが、アメリカやオーストラリア、エジプトなど、世界中に30くらいある綿花栽培地域のほとんどが大量の農薬と枯葉剤を使っているんです。ほんの50年前まで綿はすべてオーガニックだったのに、そのエリアの土壌汚染は相当なものとなっています。大量の薬剤や枯葉剤が使われるようになったのはここ50〜60年くらいなのに。綿の栽培に限らず、人類のあらゆる営みが地球環境を破壊しています。何十億年の地球の歴史、何百万年の人類の歴史のうち、わずかこの数十年で、人類は一気に地球を壊そうとしているんです。その現実と向き合ったとき、可能な限り負荷の少ない染色方法を研究し、環境問題に取り組むことを誓いました。
それを実現可能にした、社長の思いと社員の理解。
本気で自然環境に配慮しようとしたら、それは総合的なものでなければいけません。一部を改善する程度では足りないんです。染色工程におけるエネルギーの削減、薬剤低減の研究開発、エコ染色の推進と同時に、社内ではオーガニックコットンの栽培もはじめています。そのほかにも、従業員の生ごみを回収し、資源化することもしています。工場まわりの花壇や綿畑、菜園の肥料として再利用しているんです。身近にある生ゴミの問題など、せめて自分たちで処理できることは、社内で解決したいなと。せめて社員だけでも生ゴミを会社へ持ってくるという習慣をつけ、自社でバイオ処理をしたい。環境問題に対して、具体的、技術的にどう解決するか、仮に会社の方針で技術開発できたとしても、社員にその認識や協力がなくてはできません。社員ひとり一人の理解と協力があってこそはじめて結果が出るのです。やる以上は全社を挙げてやらなくては意味がない。つらいことではなく愉快に。長い目で見て、仕事に潤いを持たせるという大きな要素もあり、社員もみんな喜んで賛同してくれています。
福山から発信するモデルケース
我々はどちらかというと環境に負荷を与えてきた立場でした。なんとかそれを技術により逆転し、解決して、今後は環境問題の取り組みに対し推進する側のモデルになっていきたいと思っています。今を生きている私たち人間が今の時代で環境を壊しているんです。今ならまだ引き返せる。地球環境に配慮した取り組みを、力を合わせてみんなでしていきたい。その具体的なやり方の一つを我々が示せているのではないかと思っています。全国でもこのような活動はまだ少ない。10年ほど苦労はしましたが、その分それなりの自信を持っています。水をたくさん使わせていただいている分、きれいな水にして川に返す。本来当たり前のこの取り組みを続け、次の世代に未来をつないでいくために、少しでも役立てればいいですね。こういうことが一企業でもできるんですということを、モデルケースとして見せていきたいんです。今回、福山ブランドに登録されたことをきっかけに良い方向に進んでほしいと願っています。このモデルに共感する人が一社でも出てきて、社会全体がよくなってくれればいいと心から思います。
○団体名
坂本デニム株式会社
○住所
福山市神辺町平野231
○問い合わせ先
084-963-0029
○Web
http://www.sakamoto-d.co.jp/
○主な活動場所
福山市神辺町平野231