ほのかに香る、柑橘系の香り
1910年に創業し、私が5代目になります。酒を造るにあたって一番大切にしているのは、食事を邪魔しない、食事に寄り添う酒造りをすることです。その中でも、バラ酵母で仕込んだ「ローズマインド」は、今までの酒造りの延長線上にあるような、とても食事に合うお酒です。純粋なバラ酵母は華やかな香りはしません。このローズマインドは、華やかな香りではなく、ほのかに柑橘系のような、ワインのような香りがするのが特徴です。アルコールは14度で、通常よりも2度ほど低いです。酸味が強くなく、とてもマイルドで飲みやすいです。
福山ならではのお酒で、福山の街を活性化させたい!
「ローズマインド」を作ろうと思い立ったのは、2020年の3月です。新型コロナウイルスの蔓延により、全国的に緊急事態宣言が宣言されたことで、飲食店が打撃を受け、私たちの業界もかなり厳しい状況となりました。そんな中で、街中で「バラ酵母パン」という旗を見かけたことがきっかけになり、バラ酵母でお酒を作ることができるのはないかと思い立ちました。すぐに「福山バラ酵母プロジェクト」を行っている福山大学の久冨教授に連絡をとりました。コロナ禍で福山の街に活気がなくなってしまって、街を歩いても人がいなくて、まるでゴーストタウンのように感じました。この生まれ育った福山の街を活性化させるためにはどうするべきかと考え、バラ酵母を使ったお酒を作ろうという気持ちになりました。そこから、広島県食品工業技術センターの大土井先生にも協力していただき、試行錯誤しながら完成させることができました。
お酒とともに「ローズマインド」の認知度を上げる。
現在はオンラインと福山市内の卸問屋・酒販店のみで販売を行っています。それは、出張や旅行など、県外の方が福山の街に来て、飲食店で「ローズマインド」を飲んで、美味しいからお土産屋で買って帰るという流れをイメージしているからです。「ローズマインド」が、飲食店が活性化するための一つの材料になってほしいし、街が活性化するためのお土産として育ってほしいと思っています。ちなみに、商品名である「ローズマインド」は、福山市が登録している名称ですが、福山市に相談して使用の許可をいただきました。この商品をきっかけに戦後復興の象徴の意味でもある「ローズマインド」という言葉をもっと認知してもらいたいです。また、「ローズマインド」は、2025年に開催される世界バラ会議福山大会のウェルカムドリンクに決定しました。そこに向けて、さらに改良を重ねて進化してバラ酵母で美味しいお酒を作れたら、福山に対しても恩返しができると思っています。