1899年の創業以来、地域に愛され続けるまちのパン屋さん
『廣川日進堂』の名前で1899年に創業して以来、120年以上にわたってパンを作り続けてきました。福山空襲でほぼすべてが瓦礫と化した際も、すぐに工場と住居を再建し、食糧難の時代に必死でパンを作り続けたそうです。
4代目として歴史を大切に守りながらも、“独自の商品と流通”を経営理念に、新たな取り組みに次々と挑戦。例えば、無線を活用し、注文が入る度にドライバーがパンを配達する「残業パン」システムは、時間外労働が多く発生する企業にとても重宝されました。移動販売車や自動販売機でのパンの販売も画期的な販売方法だと喜ばれましたね。
米粉パンの先駆者として、グルテンフリー米粉パンの開発に尽力
1985年に保存料の添加を廃止し、国産小麦や天然酵母のパン作りを開始。さらに、食料自給率向上のために、何かできないだろうか…と始めたのが米粉のパン作りでした。2000年当時は、「米粉ではパンはできない」と言われ、製粉技術の進歩によりようやく米粉パンが作られるようになっても、膨らみにくさを克服する目的などでさまざまな添加物を使用するのが当たり前。試行錯誤の末、2002年にグルテン入り米粉パン「米太郎食パン」を発売しました。その後もグルテンフリー米粉パンの研究開発を続け、2022年にようやく「無添加で常温長期保存可能な、グルテンフリー米粉パン」が完成。単にグルテンフリーであるというだけでなく、納得のいく味とクオリティに仕上がるまでに、20年もの歳月がかかりました。
国産米粉、白神こだま酵母、トランス脂肪酸をほとんど含まない有機パームオイルといったシンプルな材料のみを使用。添加物が一切含まれない安心安全な素材を探し出すのは地道な作業ですが、食べる人のことを思いながらがんばって厳選しています。
トーストして温めれば、外はカリッと中はもっちりとした食感で、お米本来の甘みやうま味が感じられると子どもからご年配の方まで幅広い層に好評です。2023年冬には、オーガニックのクラフトチョコレートを練り込んだグルテンフリー米粉パンを発売。保命酒漬けのドライフルーツを練り込んだものや抹茶あずき味など、新作の開発にも取り組んでいます。
常温で長期保存ができるサスティナブルな包装技術
2002年に米粉パンを販売し始めた頃は、米粉のパンに対する認知度がほとんどなく、毎日のように売れ残っていました。パンに保存料を加えるのではなく、包装を工夫することでパンを日持ちさせられないかと考えてたどり着いたのが、オリジナルの脱酸素包装。常温で長期保存できるため、1ヶ月分をまとめてお取り寄せするリピーターさんも多くいます。
SDGsが注目される中、食品ロスがほとんど出ない『ピーターパン』のパン。パンのおいしさには一切妥協する事なく、限りある資源を大切に、できるだけ廃棄を少なく。おいしさと環境への配慮、どちらも大切にしながら、今後も『ピーターパン』らしいパン作りをしていきたいです。