家族のようにつながる、
かけがえのない地域コミュニティ
国特別史跡『廉塾並びに菅茶山旧宅』周辺における地域住民の交流やまちづくりを目的とした花壇の整備や菜園運営など、美化作業全般が主な活動。菜園で栽培される野菜が収穫を迎える時期には収穫祭も開催している。ほかにも地域の子どもたちから年配者まで、幅広い世代の交流を深める行事も主催。地元コミュニティの活性化にとどまらず、菅茶山の教えを次の世代に伝承する役割も担う。
審査員ポイント
長い期間を視野に置いた活動。三世代交流や向こう三軒両隣の絆づくりといった現在の社会課題に対する取り組みでもあり、それが活動の拡がりを生んでいることが高く評価されます。
歴史的建造物の再生・保存・継承と地域の交流を融合している点がすばらしい! 観光地としての顔になりえます。
廉塾ふれ愛ボランティア絆の会メンバー
「時代を越え、つないで築くまちと人。
茶山の教えが受け継がれているんです」
活動の本質と副産物。
廉塾の畑や庭を掃除したあと、みんなで集まって、お茶を飲みながら座談をするのが楽しいんですよね。そうすることで、日常的に顔を合わせば自然にあいさつができるようになりました。おのずと声かけすることで、お互いの健康状態を確かめ合うこともできています。この活動がふれあいや交流の場としての役割りを担ってくれているんです。子どもからお年寄りまで、幅広い世代の人たちが集まる機会としてとても良い。お年寄りが若い世代に昔話を教えてあげることもできますしね。自然と地域全体の人間関係がよくなってきた気がします。どんどん参加人数も増え、今はだいたい一回の定例会に平均30人くらいの参加があるので、より楽しい行事ができるようになりました。収穫祭は年に3回。その時はいつもより子どもたちがたくさん集まります。核家族が増えている昨今、より地域でふれあいを増やしたいという思いも活動の根底にあるのです。
人として生きることの源にあるもの。
紀元前の中国の思想家が「水は方円の器にしたがい、人は善悪の友による」という格言を残しました。水は液体だから器によってかたちを変えていく。人間も生活環境や教育環境、社会環境や人間関係のなかで、よくなっていくこともあれば、悪くもなることもあると。これこそ人間の生き方や精神の教えですね。
人間ひとり一人が存在する社会的エリアの一番小さな単位は家庭。家庭がいくつか集まれば村ができる。ゆくゆくは国という社会的エリアになる……。人間は一人で勝手に生きているわけではありません。助け合いや支え合いがあってこそ生きていけるのです。人間関係のその中で生きているのだから、できることは積極的にやるべきです。地域貢献、社会貢献することが人間としての生き方だと思っています。そして、そういう精神がここ廉塾にはあるのです。
活動、そして廉塾の今後。
講堂と旧宅の改修の準備を進めています。改修が済んだら、毎年開催している漢詩の素読や漢詩の現代語訳などをその新しい講堂で開催できたらいいですね。
菅茶山の漢詩には自然の風物詩が非常に多いんです。蝶々の歌もあるし、蛍の歌もある。茶山は、常に外へ出て、自然観察のなかで多くの歌を詠んだのです。ここには昔ホタルもいたんですよ。改修工事では以前ここにあったとされる池も再現する予定です。完成が今から楽しみですね。一流の庭園、誰しもが来たくなる庭園ができたらいいですね。そして、菅茶山の業績・遺芳と人物像・遺徳をしっかり継承していきたいと思っています。
○団体名
廉塾ふれ愛ボランティア絆の会
○問い合わせ先
084-962-2065
○主な活動場所
廉塾並びに菅茶山旧宅(福山市神辺町川北640-3)